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NTTコミュニケーションズ
IPv6プロジェクト
担当課長 山崎 俊之氏
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IPv4からIPv6へ
IPv6というのは今、もっとも有望視されている次世代インターネットプロトコルです。従来使用されてきたIPv4が持っていた問題を、IPv6で解決することによって、本来インターネットで実現できると皆が想像しながらも運用上の問題で実現できなかったようなことを本当に実現する技術です。IPv4は、アドレス数に制限がありましたが、IPv6になると、新しい技術でほぼ無限大のアドレスを得ることができます。また、セキュリティの確保やプラグアンドプレイ、品質の確保、経路集約といった様々な問題を解決するこ とができます。それによって、従来のClient-Serverモデルから、すべての端末が1対1で通信できるP2P(peer
to peer)というモデルに変わるといわれています。この数年でおそらくIPv4からIPv6への移行が行われるでしょうが、技術が大きく変化するときには勝者も変わります。この変革をビジネスチャンスととらえて、今日本のベンダーやベンチャー企業がIPv6に注目しています。これは何十年に1回のチャンスではないかと思います。これをとらえ、新しいビジネスとして早期に立ち上げることが勝者への道だと考えています。 IPv6で一番よく語られるのが、IPv4に比べてアドレスの数が増えるということです。アドレスとは、コンピュータがコンピュータにアクセスするときに、マシンを識別するための識別子のことで、IPアドレスと呼ばれるものです。パソコンはこのアドレス向けにパケットと呼ばれるデータの小包を送り、ルータがパケットのバケツリレーをしながら、目的のマシンにデータを到達させます。このIPアドレスは世界で唯一のものなので、目的のマシンにデータを送ることがでるわけです。しかし、IPv4は元々限られたユーザーを想定して設定されていたため、インターネットが爆発的に広まったことで、アドレスが足りなくなりつつあります。アドレスが枯渇してしまえば、インターネットのマーケットがそれで止まり、結局インターネットそのものも滅びてしまうでしょう。そこで、1個のアドレスを複数のパソコンがシェアするNATやプライベートアドレスなどの対応策が採られてきましたが、これではインターネットの本質である「End
to End」の通信に歪みを生じ、Voice-over-IPなどのアプリケーションが使えなくなります。また、プライベートアドレスの使用によって、エクストラネット同士の通信ができないといった弊害がしばしば起きています。
IPv4のアドレスは、40億個ほどありますが、早ければ2005年ぐらい、甘く予想しても2007年頃にはなくなると考えられています。そうなってから対応してもすでに遅く、やはり2年ぐらい前からIPv6対応の検討を始めなければいけません。企業のシステムの更改時期を考えると、3年ぐらい前には考えておくべきでしょう。来るべき2005年に向け、IPv6を使える機器を選んでおくという注意が必要だと思います。
本来、すべてのパソコン、すべての端末がIPアドレスを持っていれば1対1のつまりP2Pの通信が可能だったのですが、IPv4では、アドレスをシェアしたりしているので、これができなくなっています。IPv6になれば、すべてのパソコンがアドレスをもてるので、これが実現します。その数は全世界の人が毎日何十兆個のアドレスを消費しても100兆年以上もつほどの、ほぼ無限大の数です。アドレスが増えることにより、体系的なアドレス構造にすることができます。また、セキュリティ機能が標準装備され、プラグアンドプレイを可能にしたり、通信品質の確保など、様々な仕組みが作られています。
IPv6がひらく世界
IPv6ではパソコン以外に家電製品や自動車など、様々なところにIPアドレスをつけることも可能です。これはすでに家電メーカーや自動車メーカーが開発し、商品も出されています。セキュリティ面でも、IPSECという仕組みでEnd-to-Endで守れるようになるので、携帯電話からビデオをコントロールしたり、お風呂を沸かすと行った便利な通信ができるようになります。その一例として、家の中にホームネットワークが構築され、ホームゲートウェイと呼ばれるルータ的なもので接続します。たとえば、電子レンジでプロの火加減情報をダウンロードして、プロ並みの調理をするといったことも可能です。また、逆に家庭からメーカーに冷蔵庫の開閉回数といったデータを送信し、耐用年数を分析してマーケティングや開発に生かすということもできます。今年6月にはNetworld+Interop2001という通信業界の大きな見本市が幕張メッセで開催されましたが、ここでは携帯電話にIPアドレスを持たせて自宅のビデオデッキや冷蔵庫をコントロールするデモが行われました。
現在、通信については様々なキーワードが述べられていますが、その一つが100メガ以上の単位のブロードバンドです。そして常時接続とIPv6。我々の業界でもキーワードとして語られ、みんなそれを目標にしています。加えて、新たに登場するアプリケーションが、今後のITを支えると期待されています。
進むIPv6化
IPv6の火付け役は森前首相の発言で、昨年度、IT戦略会議がソニーの出井会長を中心に開催され、IPv6を推進する、積極的な活動をしています。それに併行する形で国策としてもIPv6を推進していくとしています。さらに、総務省ではIPv6普及・高度化推進協議会を設置、外郭団体の通信放送機構を受け皿に、80億円規模の実験を開始しています。今年12月に開催されるイベントで実験の内容が披露される見込みです。
具体的な商品がどこまでIPv6対応になっているかという点ですが、OSに関しては、Windowsは10月頃に北米で発売されるWindows
XPが、IPv6標準装備になっています。また、FreeBSDというフリーのUNIXでは、日本が中心になって作ったIPv6のプロトコルプログラムであるKameパッケージがすでに稼働しています。同じくフリーのLinuxでは、これに対抗してやはり日本人が中心になっているUsagiプロジェクトが立ち上がっています。そのほかワークステーションやルータでも日本ベンダーを中心にIPv6対応の機器が出てきています。ISPでも弊社をはじめIPv6の実験サービスや商用サービスを開始している事業者があります。IPv6に関しては世界でも日本が特に進んでおり、欧米ではまだ研究段階で商用サービスにはつながっていません。家電でもすでに試作品や本格的な商品ができており、もう一つの動きとしてはルータの家庭版といえるホームゲートウェイを各社開発しています。また、ソニーではプレイステーション2をIPv6化すると発表しています。
IPv6推進のための活動や国際会議も各種開催されており、昨年12月にはこの大阪国際会議場でグローバルIPv6Summit
in Osakaを開催、大盛況で700人以上の人が世界から集まりました。これはインターネット協会IPv6Deployment
Committee主催で、今年は12月に横浜で開催予定です。ほかにIPv6ジャーナルという雑誌の発行やIPv6普及啓発委員会の発足などの試みがされています。
ヨーロッパでは、第三世代の携帯電話網ではフルIPv6化が決定しています。携帯インターネットサービスは電話事業者とは別のネットワーク事業者がするよう規制されていますが、そのネットワークもIPv6化しようという動きになっています。ほかにブリティッシュテレコムやドイツテレコムなどの電話会社が活発にIPv6化に取り組んでいます。
IPv6のアドレスは、商用プロバイダにsTLAという、非常に大きなブロック単位で割り当てられますが、現在、国別のsTLAの割当数をみると、日本が一番多く、一番商用サービスへの取り組みが進んでいるということがわかります。ほかにはアジア・パシフィック地域と、ヨーロッパがだいたい同等ぐらいで、北米はそれより少なくなっています。
IPv6の課題としては、先のINTERROPと同時開催された「IPv6 Day」の中で、技術者が現在の技術的な準備状況をディスカッションし、技術マップを作ったところ、セキュリティ部分とネットワーク管理の対応が不足していることがわかりました。セキュリティはIPSECという仕組みはありますが、ネットワーク管理者がどのように利用者をコントロールするかというモデルが未整備な点に問題があるということになりました。
変革の時代に
私たちNTTコミュニケーションズでは、すでにsTLAを取得し、1999年にOCNIPv6トンネル実験を開始しています。これには200以上もの実験参加者がありました。今年3月には弊社とVerio社が共同でグローバルIPv6バックボーンネットワークを開発、それに伴って4月よりIPv6ゲートウェイサービスを始めています。このバックボーンネットワークは、日米欧にまたがっており、世界初、最大規模の商用IPv6のバックボーンネットワークです。
これを使って、IPv6ゲートウェイサービスと、6月よりOCNIPv6トンネル接続サービスを開始しています。IPv6ゲートウェイサービスは大手プロバイダや企業などのニーズに対応した大容量の接続サービスです。一方、OCNトンネル接続サービスは、エンドユーザ向けのサービスで、現在安定稼働しているIPv4を生かしながらIPv6の環境を導入できるサービスです。
これは最終的にIPv4もIPv6も両方使えるデュアルサービスを目標にしています。
今後、希望するのはIPv6にしかできない新しいアプリケーションの登場です。これは弊社だけではなく、様々な型が新しいアイデアで新しい世界を作っていくのだと考えています。みなさんもこのIPv6という新しい時代の変わり目に、ぜひ乗って、新しいアプリケーションやビジネスを開発していただきたいと思います。
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